輪廻かな椿の落ちる音に覚め
死ねるのに生きられないの薄紅葉
昨日は一文字せせり見たし
酒だけはやめられません七回忌
秋雷誰かを置いてきてしまい
君を吸う蚊にもなりたき夕べかな
熱帯夜君を溶接し溶接し
平日限定の男を蹴ってみた
大向日葵元気ないねと目を合わせ
抱擁のふたり黄色い残暑かな
向き合わぬふたり雷雨の駅舎にて
剥細く駆け出ひとよ鎌倉の雨
自慰の床台風なかなかやって来ず
母と子の紡がれていてライラック
リラ薫る母なるものの誕生す
爽秋の満員電車乗り慣れず
そぞろ寒メールメール電話メール
つがいの蜻蛉の空中停止
君の文を添削したき秋の宵
障子張る愛の内訳問われつつ
野分立つ消えてしまうにはでかすぎ
十六夜のみち一方通行(いっつう)ですよここ
コスモスを踏み分け星と僕の陣
休日の南瓜切るときいつも怖い
ほらここにほらここにいるよちゃんと見て
秋雨や子供みたいになきむせぶ
目の前はあなたの鼻ねハイヒール
ハイヒールkissの高さに富士額
ハイヒール道に落ちてる愛を刺し
サフランのあたたかくただあたたかく
独白や味も香りもサフランの
恋人のサフラン山分けす
サフランになろうねというプロポーズ
秋雷や肌を鉤裂く君の棘
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