2010年12月31日金曜日

俳句3

満月の明くる日父を納骨す

柘榴割れ墓前に並ぶ黒い脚

冥福は祈るものなりとろろ汁

鳥渡る四十九日を境にし

濃密なふたりが燻す金木犀

木犀と血縁まるごと相続す

金木犀に免じ過ち赦しあう

金銀も木犀ひとつくれてやれ

タクシーの紅葉も恋も簡易版

タクシーのふと減速す秋祭

タクシー野分ものともせず突っ切る

南天の下にタクシー佇めり

未来こそ存在なのだ吾亦紅

新生姜やはり未来はなくはない

村芝居未来の子たち立ち止まり

初七日初めて話すのに諍い

話したことなき親族が睨んでいる

死はいつも唐突であり生ビール

秋冷や肌身はなさず携帯電話

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