満月の明くる日父を納骨す
柘榴割れ墓前に並ぶ黒い脚
冥福は祈るものなりとろろ汁
鳥渡る四十九日を境にし
濃密なふたりが燻す金木犀
木犀と血縁まるごと相続す
金木犀に免じ過ち赦しあう
金銀も木犀ひとつくれてやれ
タクシーの紅葉も恋も簡易版
タクシーのふと減速す秋祭
タクシー野分ものともせず突っ切る
南天の下にタクシー佇めり
未来こそ存在なのだ吾亦紅
新生姜やはり未来はなくはない
村芝居未来の子たち立ち止まり
初七日初めて話すのに諍い
話したことなき親族が睨んでいる
死はいつも唐突であり生ビール
秋冷や肌身はなさず携帯電話
0 件のコメント:
コメントを投稿